障害福祉サービス行動援護のサービス・加算報酬について、ハンドブック報酬編の内容を分かりやすく解説します。
行動援護って?
行動援護サービスは、知的障害や精神障害があり、日常生活で困難を抱えている方に対して、外出する際の支援などを提供するサービスです。似たような名称のサービスで「同行援護」がありますが、それぞれ別のサービスです。ざっくりと以下の違いがあります。
「同行援護」・・・視覚障害を持つ方が外出する際の支援
「行動援護」・・・知的、精神障害を持つ方が外出する際の支援
具体的にはこんなことをします
・外出時の危険な行動を防ぐ
・突発的な行動に対して適切に対応する
・日常生活に必要なサポートを行う(食事、排泄など)
といった支援を行います。
対象者について
・知的障害か精神障害を持ち、障害支援区分3以上の方
・特定の行動に関して、市区町村から認定を受けている方
行動援護サービス費の考え方
行動援護サービスの費用は、サービス時間、従事者の資格、利用者の状況などによって変わってきます。
基本報酬について
サービスの時間と報酬
行動援護の報酬は、30分単位で計算されます。
- 最初の1時間以上~1時間30分未満:6190円
- 以降30分ごと:1400~1480円(1日に8時間まで)
2人以上が同時に支援をした場合は、それぞれ人数分の報酬を算定できます。
従業者への研修の義務化について
行動援護サービスを提供する従業員の方には、以下のいずれかの研修の修了が義務付けられています。
- 行動援護従業者養成研修
- 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)
これらの研修は、障害を持つ利用者の特性を深く理解し、適切な支援を提供するために必要な知識や技術を習得するためのものです。
行動援護サービスにはどんな加算がある?
行動援護サービスには様々な加算があります。特徴的なものを中心に各種加算を紹介します。
支援計画シート等未作成減算 基本報酬の95%を算定
利用者のための「支援計画シート」等の作成が義務付けられています。この計画書がない場合は、料金が95%に減額となります。
特定事業所加算 基本報酬の単位から5%〜20%追加
特定事業所加算は、質の高いサービスを提供するために以下①〜③の3つの条件を満たしている事業所が対象となります。
①サービス提供体制の整備:研修の実施や、サービスの質向上に取り組んでいること。
・計画的な研修の実施
・会議の定期的開催(1ヶ月に1回が基本)
・サービス提供後の報告(メール、FAXでもOK)
・医療・教育等の関係機関との連携
②人材要件:介護福祉士の割合を30%以上など、いくつかの条件があり、質の高いサービスを提供するための人材を確保していること。
③重度障害を持つ利用者への対応::たん等の吸引が必要な利用者等で区分5以上30%以上か、又は区分4以上50%以上の場合
上記のすべての要件を満たした場合、最も高い加算額の特定事業所加算(Ⅰ)を取得。それぞれの要件を満たす場合は特定事業所加算(Ⅱ)〜(Ⅳ)いずれかの対象となります。
緊急時対応加算 1000円/回(月2回まで)
緊急時対応加算は、利用者やその家族等から突然の要請を受けてから24時間以内に行動援護のサービスを提供した場合に対象となります。
行動障害支援指導連携加算 2730円/回(月1回まで)
支援計画シート等の作成者と、重度訪問介護のサービスを提供する事業所のサービス提供責任者が連携し、利用者の状況を共有・評価することで対象となります。
その他の加算
他の障害福祉サービスでも対象となる事が多い加算・減算を簡単にご紹介します。
◯特別地域加算:所定単位の15%
山間部の利用者に対してサービスが提供された場合
◯情報公表未報告減算:所定単位の5%減算
情報公表制度が未実施
◯業務継続計画未策定減算:所定単位の1%減算
業務継続計画未策定
◯身体拘束廃止未実施減算:所定単位の1%減算
①身体拘束の記録②委員会開催③指針整備④研修実施がされていない
◯虐待防止措置未実施減算:所定単位の1%減算
①虐待防止委員会開催②虐待防止研修実施③担当者の設置がされていない
◯初回加算:2000円/月
新規利用者へサービス提供責任者が支援した場合
◯利用者負担上限額管理加算:1500円/月
対象者の負担額の管理を行った場合
◯喀痰吸引等支援体制加算:1000円/日
たんの吸引等を実施した場合(特定事業所加算(Ⅰ)を算定していない事業所が対象)
◯福祉・介護職員等処遇改善加算
職員の賃金改善など一定の基準に適合する取り組みを実施している場合。別途、概要説明ページを作成予定。
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