こんなに分かる!自立訓練(機能訓練)って?障害福祉サービス・報酬のハンドブックを分かりやすく紹介

自立訓練(機能訓練)

障害福祉の自立訓練(機能訓練)サービス・加算報酬について、ハンドブック報酬編の内容を分かりやすく解説。ハンドブックでは分かりにくい内容を簡単な文章にして紹介します。

自立訓練(機能訓練)は主に身体機能のリハビリを行います。

自立訓練(機能訓練)は、障害のある方が、地域で生活していくために必要な、リハビリテーションや相談などの支援を行います。

自立訓練(機能訓練)はどんなサービス?

自立訓練サービスには2種類(機能訓練・生活訓練)あり、それぞれ特徴があります。
機能訓練:身体機能の回復や維持の訓練
生活訓練:料理、掃除、買い物など生活に関する訓練

具体的にこんなことをします

リハビリテーション: 理学療法士や作業療法士など専門家による、身体機能の維持・向上のための訓練を行います。

相談: 生活に関する悩みや困りごとについて相談などの支援を行います。

身体機能の維持・向上とは?
歩く練習、腕や手の機能回復のための訓練、日常生活動作の練習など

生活に関する悩みや困りごととは?
身体の痛みや不調、福祉サービスの利用方法など

対象となる方

このサービスは障害の区別なく利用できますが、主に身体障害(脳血管障害、脊髄損傷、関節疾患など)の方が対象になります。

脳血管障害、脊髄損傷、関節疾患などとは?
脳や脊髄、関節といった身体の重要な部分に障害が起こる病気の総称

自立訓練(機能訓練)サービス費の考え方

基本報酬について

自立訓練(機能訓練)の基本報酬は、利用者が通所して訓練を受ける場合と、訪問を受けて訓練を受ける場合で異なります。また、利用者の数利用時間によっても、報酬額が変わります。

◯通所訓練の場合利用定員数によって異なります。

20人以下21〜40人以下41〜60人以下61〜80人以下81人以上
(Ⅰ)8190円7320円6950円6670円6290円

報酬額は1日単位

◯訪問訓練の場合:訓練を行う時間によって異なります。

1時間未満1時間以上
(Ⅱ)2650円6060円

報酬額は1日単位
視覚障害者に対する訓練は別に設定:7790円/日

利用定員とは?
事業所で受け入れることができる人数の上限

自立訓練(機能訓練)サービスにはどんな加算がある?

自立訓練(機能訓練)サービスには様々な加算があります。特徴的なものを中心に紹介します。

定員超過利用減算 基本報酬の70%を算定

定員超過利用減算は、定められた利用定員を超えている場合に報酬が減額されます。

  • 1日あたりの利用者数が定員を超過している場合
    • 定員が50人以下で、1日の利用者数が定員の150%を超えると減算対象となります。
    • 定員が51人以上で、1日の利用者数が定員から50を引いた数に125%を掛け、さらに75を足した数を超えると減算対象となります。
      例:(定員60人ー50)✕125%+75=利用者数87.5人を超えると減算
  • 過去3か月間の平均利用人員が定員の125%を超過している場合
     ・定員11人以下の場合: 過去3ヶ月の平均利用人員が(定員+3人) を超えると減算されます。

サービス提供職員欠如減算 基本報酬の50〜70%を算定

定められた職員の数が不足している場合に報酬が減額されます。

  • 職員の数が基準を満たしていない場合
    ・定められた職員の数が、1割超不足している場合、翌月から減算となります
    ・定められた職員の数が、1割以内で不足している場合、翌々月から減算となります

 ・減算される金額
  ・減算適用1ヶ月目と2ヶ月目:所定単位数の70%が算定されます。
  ・減算適用3ヶ月目以降:所定単位数の50%が算定されます。

サービス管理責任者欠如加算 基本報酬の50〜70%を算定

サービス管理責任者(サビ管)が定められた人員基準を満たしていない場合に、減額となります。
サビ管は利用者の個別支援計画作成やサービスの質の向上など、非常に重要な役割を担っています。

  • サビ管が不足している場合:
    • サビ管の数が不足している状態が、発生した月の翌々月からサビ管が充足する月までの期間に減算が適用されます。
  • 減算適用1ヶ月目から4ヶ月目:所定単位数の70%が算定されます。
  • 減算適用5ヶ月目以降:所定単位数の50%が算定されます。

標準利用期間超過減算 基本報酬の95%を算定

利用者が標準利用期間を大幅に超えてサービスを利用している場合に、報酬が減額されます。

事業所全体の平均利用期間が、標準利用期間を6ヶ月以上超えている場合に、5%減算されます。

減額の対象となる具体的なケース
・利用者の状態が安定しているにも関わらず、サービスを継続している場合
・他サービスへの移行が可能であるにも関わらず、サービスを継続している場合

標準利用機関とは?
通常は1年6ヶ月、四肢麻痺(両手両足の麻痺)など重度の障害者については3年

福祉専門職員配置等加算 60〜150円/日

指定の資格を持つ職員を一定割合以上配置することで、追加の報酬が加算されます。

以下の(Ⅰ)〜(Ⅲ)に分かれており、それぞれの条件を満たす事業所が加算の対象となります。

  • 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ):1日あたり150円
    常勤の生活支援員のうち、有資格者が35%以上
  • 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ):1日あたり100円
    常勤の生活支援員のうち、有資格者が25%以上
  • 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ):1日あたり60円
    生活支援員のうち、常勤職員が75%以上、または勤続3年以上の常勤職員が30%以上

有資格者とは?
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、公認心理師の資格を持つもの

ピアサポート実施加算 1000円/月

ピアサポーターと呼ばれる、同じような障害経験を持つ職員が利用者に対して支援を行う場合に対象となります。

◯対象となる条件
障害者ピアサポート研修の基礎研修及び専門研修を修了していること。

ピアサポーターとは?
同じような経験や障害を持つ者が、互いに支え合う活動を指します。

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 410〜510円/日

視覚・聴覚や言語に重度の障害を持つ利用者に対して、障害の種類に応じた専門職員が、配置されている事業所が対象となります。(それぞれ一定の割合の条件あり)

利用者の割合や職員の配置によって加算額が異なります。

加算区分加算額備 考
(Ⅰ)510円利用者割合が全体の50%以上
専門職員1人に対して40人まで
(Ⅱ)410円利用者割合が全体の30%以上
専門職員1人に対して50人まで
報酬は1日単位

専門職員とは?
点訳や歩行支援、手話通訳などができる者となっていますが、専門職員の定義ついては、各都道府県によって異なる場合があります。

高次脳機能障害者支援体制加算 410円/日

高次脳機能障害を持つ利用者が全体の30%以上で、それに対する専門職員が一定数配置されている事業所が対象となります。

高次脳機能障害とは?
脳卒中や交通事故などによる脳機能の障害

専門職員を一定数配置とは?
高次脳機能障害支援者養成研修を受講している職員を、利用者全体の人数を50で割った人員配置基準を満たすように配置すること
。(例:利用者20人÷50=0.4以上配置する)

欠席時対応加算 940円/回

利用者が急に休んだ際に、電話や口頭などで連絡を取った場合に対象となります。

休み当日〜営業日2日前までに連絡があった場合
・連絡の日時、内容の記録が必要

リハビリテーション加算 200〜480円/日

医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが中心となって計画を作成したリハビリが必要な利用者に対して支援している事業所が対象となります。

・頸髄損傷によって両手足に麻痺があるなど重度の障害がある利用者:480円/日
・それ以外の利用者:200円/日

食事提供体制加算 300円/日

市区町村が認定する低所得の利用者に対し、栄養士等による献立確認や食事の記録など適切な体制で食事提供を行っている事業所が対象となります。

・市区町村が交付する受給者証で食事提供体制加算の対象となっている利用者
・事業所内で調理、または外部の業者に委託でもOK
栄養士などによる献立確認(年1回以上・外部委託OK)、食事の記録(目視、自己申告でも可)、体重測定が行われていること

受給者証とは?
障害福祉サービスを受けるために市区町村から交付される証明書です。この受給者証によって、利用者は、自分に合ったサービスを、公費負担で利用することができます。

栄養士などとは?
管理栄養士または栄養士。

送迎加算 100〜210円/回

利用者を自宅等と事業所間を送迎した場合に加算されます。

加算(Ⅰ)、(Ⅱ)に分かれており、以下の①、②の条件を満たすと加算の対象となります。
 ①一回の送迎で平均10人以上利用
 ②週3回以上送迎を行っている

・送迎加算(Ⅰ):210円/回
 ①、②どちらも満たしている

・送迎加算(Ⅱ):100円/回
 ①、②どちらか一つ満たしている。

※施設入所などで自宅と事業所が同じ敷地内の場合、加算額は70%となる。
※送迎業務を外部の業者に委託したり、他事業所の利用者を同乗させても加算対象。

一回の送迎とは?
迎え、送りの送迎全体をそれぞれ一回とします。車を複数台使って、帰りに20人送った場合は一回の送迎で20人を送ったということになります。

障害福祉サービスの体験利用支援加算 2500〜5000円/日

利用者がサービスを体験利用した際に対象となります。体験利用開始から15日以内まで。

・初日〜5日目まで:5000円/日
・6〜15日目まで:2500円/日

社会生活支援特別加算 4800円/日

医療観察法に基づいて治療を受けている人や、刑務所を出所した人が、地域社会で生活できるように支援する事業所が対象となります。

◯対象となる方
以下の施設から退院・退所してから3年以内の方
・医療観察法に基づく通院・入院
矯正施設更生保護施設

◯加算対象となる条件
・事業所に有資格者を配置しているか、関係機関から有資格者が訪問する体制が整えている。
・事業所の全職員を対象に、年1回以上研修会を行う

医療観察法に基づいて治療を受けている人とは?
精神的な病気のために、過去に重大な事件を起こしてしまったため、法律に基づいて治療を受けている方

矯正施設とは?
犯罪者の更生を目的とした施設の総称。刑務所、少年刑務所、拘置所など

更生保護施設とは?
少年院を出所した人の更生を支援する機関

有資格者とは?
社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師

年1回以上の研修会とは?
対象者の支援関係者による研修、支援実績のある事業所視察、関係団体の研修会受講など

就労移行支援体制加算 70〜570円/日

事業所が、利用者を一般企業に就職させ、6ヶ月以上継続して働き続けている場合に対象。就労の実績が出た年の翌年に1年間加算されます。

利用定員数によって加算額が異なります。

利用定員20人以下21〜40人以下41〜60人以下61〜80人以下81人以上
加算額570円250円140円100円70円

加算額は1日単位

緊急時受入加算 1000円/日

夜間に緊急事態が発生した利用者に対して、迅速な支援を行った事業所が対象となります。

  • 地域生活支援拠点等に位置付けられている
  • 関係機関との連携調整に従事する者を1人以上配置している
  • 緊急事態(例えば、夜中に体調が悪くなった、家を出たまま戻ってこないなど)で夜間に支援を行った場合

地域生活支援拠点等とは?
法的な要件、地域との連携など一定の要件を満たし自治体で登録されたもの

集中的支援加算 10,000円/回(3ヶ月以内で月4回まで)

強度行動障害のある利用者の状態が悪化した際に、専門性の高い「広域的支援人材」を招いて、集中的な支援を行った場合に対象となります。

広域的支援人材とは?
複数の地域や広範囲にわたって支援を行う専門的な人材

その他の加算

他の障害福祉サービスでも対象となる事が多い加算・減算を簡単にご紹介します。

◯個別支援計画未作成減算:基本報酬の50%〜70%算定
 利用者の個別支援計画が作成されていない場合、期間に応じて減算となります。

◯特別地域加算:所定単位の15%
 山間部の利用者に対してサービスが提供された場合

◯情報公表未報告減算:基本報酬の5%減算
 情報公表制度が未実施

◯業務継続計画未策定減算:基本報酬の1%減算
 業務継続計画未策定

◯身体拘束廃止未実施減算:基本報酬の1%減算
 ①身体拘束の記録②委員会開催③指針整備④研修実施がされていない

◯虐待防止措置未実施減算:基本報酬の1%減算
 ①虐待防止委員会開催②虐待防止研修実施③担当者の設置がされていない

◯初期加算 300円/日
 利用開始の日から30日以内に加算する。

◯利用者負担上限額管理加算:1500円/月
 対象者の負担額の管理を行った場合

◯福祉・介護職員等処遇改善加算
 職員の賃金改善など一定の基準に適合する取り組みを実施している場合。別途、概要説明ページを作成予定。

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