障害福祉サービス短期入所のサービス・加算報酬について、ハンドブック報酬編の内容を分かりやすく解説します。こちらのページでは短期入所とはどんなサービスか。どんな報酬があるのか。ハンドブックでは分かりにくい内容を簡単な文章にして紹介します。
- 基本報酬について
- 短期入所サービスにはどんな加算がある?
- 定員超過利用減算 基本報酬の70%を算定
- サービス提供職員欠如減算 基本報酬の50〜70%を算定
- 短期利用加算 300円/日
- 常勤看護職員等配置加算 60〜320円/日
- 医療的ケア対応支援加算 1200円/日
- 重度障害児・障害者対応支援加算 300円/日
- 重度障害者支援加算 300〜500円/日
- 単独型加算 3200円/日 一定の要件を満たす場合+1000円
- 医療連携体制加算 320〜20,000円/日
- 栄養士配置加算 120〜220円/日
- 食事提供体制加算 480円/日
- 緊急短期入所受入加算 2700〜5000円/日
- 定員超過特例加算 500円/日
- 特別重度支援加算 1200〜6100円/日
- 送迎加算 1860円/回
- 日中活動支援加算 2000円/日
- 医療型短期入所受入前支援加算 5000〜10,000円/日
- 集中的支援加算 5,000〜10,000円
- その他の加算
短期入所って?
短期入所サービスは、障害のある方が必要な支援を受けながら、一時的に宿泊利用ができるサービスです。普段、お世話をされているご家族などのご都合がつかない時や本人の都合による場合など、数日から数週間利用できます。
具体的にこんなことができます
短期入所の利用者は障害が軽度〜重度の方まで幅広く利用するため、それぞれの特性に沿っていろいろな支援を行います。
◯日常生活の支援
- 入浴、排泄、食事の介助:利用者のペースに合わせて介助を行います。
- 身の回りのお世話::着替えや歯磨き、髪の手入れなどの身の回りの事を支援します。
- 移動の介助: 車椅子での移動や、歩行の補助を行います。
◯機能訓練
- 身体機能の訓練: 体操や運動を通して、身体機能の維持・回復を図ります。
- 認知機能の訓練: ゲームなど、認知機能の維持・向上を目的とした活動を行います。
◯レクリエーション
- 季節のイベント:クリスマスなど、季節に合わせたレクリエーションを行います。
- 外出: 近隣の公園、買い物同行などを行います。
- 趣味活動:歌や絵画、手工芸などの趣味活動を行います。
◯医療処置
- 服薬の管理: 医師の指示に基づいて、薬の服用を管理します。
- 医療機器の管理: 褥瘡(じょくそう)防止のための機器の管理や、人工呼吸器の管理などを行います。
※それぞれの短期事業所や利用者の特性によって、実施する内容は異なります。
褥瘡(じょくそう)とは?
「床ずれ」と呼ばれるもので、体の同じ部分が長時間圧迫されることで、その部分の血流が悪くなり、皮膚や筋肉などが傷ついてしまう状態
対象となる方
短期入所を利用できる方は大きく2つのグループになります。
①市区町村で認定される障害支援区分が区分1以上の方
②障害支援区分1以上に該当する子ども
※区分1以上で日常生活を送る上のサポートが必要な方、医療的なケアが必要な方などが対象となります。
短期入所サービス費の考え方
基本報酬について
短期入所には福祉入所サービス費と医療型短期入所サービス費の2つがあり、それぞれ障害支援区分や日中活動のサービスを利用しているかなどで報酬が異なります。
◯福祉型短期入所サービス費
・障害者
区分6 | 区分5 | 区分4 | 区分3 | 区分2以下 | |
(Ⅰ) | 9230円 | 7840円 | 6480円 | 5830円 | 5090円 |
(Ⅱ) | 6020円 | 5270円 | 3180円 | 2400円 | 1730円 |
強化(Ⅰ) | 11640円 | 10260円 | 8890円 | 8240円 | 7510円 |
強化(Ⅱ) | 8440円 | 7700円 | 5590円 | 4830円 | 4130円 |
強化特定(Ⅰ) | 11070円 | 9770円 | 8460円 | 7840円 | 7150円 |
強化:医療的ケアが必要 強化特定:医療的ケア+日中のみ短期入所利用
・障害児
区分3相当 | 区分2相当 | 区分1相当 | |
(Ⅲ) | 7840円 | 6150円 | 5090円 |
(Ⅳ) | 5270円 | 2790円 | 1730円 |
強化(Ⅲ) | 10260円 | 8580円 | 7520円 |
強化(Ⅳ) | 7700円 | 5210円 | 4120円 |
強化特定(Ⅱ) | 9770円 | 8160円 | 7140円 |
強化:医療的ケアが必要 強化特定:医療的ケア+日中のみ短期入所利用
◯医療型短期入所サービス費
基本報酬 | |
(Ⅰ) | 31,170円 |
(Ⅱ) | 28,640円 |
(Ⅲ) | 18,260円 |
体制:(Ⅰ)看護体制7:1
報酬は1日単位
◯医療型特定短期入所サービス費(宿泊なし)
基本報酬 | |
(Ⅰ) | 29,380円 |
(Ⅱ) | 27,350円 |
(Ⅲ) | 17,230円 |
(Ⅳ) | 21,500円 |
(Ⅴ) | 20,200円 |
(Ⅵ) | 13,280円 |
体制:(Ⅰ)看護体制7:1 (Ⅳ)、(Ⅴ)、(Ⅵ)日中サービス利用
報酬は1日単位
重症心身障害者とは?
重度の身体障害と知的障害を持つ方
医療的ケアスコア16点以上とは?
日常生活を送る上でどれほどの医療的なケアが必要なのかを数値化したもの。16点以上とは、呼吸器装着、胃に直接栄養を送るなど非常に高度な医療的なケアを必要としている状態。
遷延性意識障害とは?
重度の昏睡状態が長期にわたって続く状態
共生型短期入所は介護保険との連携など、特別な要素が含まれているため、通常の短期入所とは報酬体系が異なります。このページでは割愛します。
短期入所サービスにはどんな加算がある?
短期入所サービスには様々な加算があります。特に短期入所は加算の種類が多いですが、特徴的なものを中心に各種加算を紹介します。
定員超過利用減算 基本報酬の70%を算定
定員超過利用減算は、定められた利用定員を超えている場合に報酬が減額されます。
- 1日あたりの利用者数が定員を超過している場合
- 定員が50人以下で、1日の利用者数が定員の110%を超えると減算対象となります。
- 定員が51人以上で、1日の利用者数が定員から50を引いた数に105%を掛け、さらに55を足した数を超えると減算対象となります。
例:(定員60人ー50)✕125%+75=利用者数87.5人を超えると減算
- 過去3か月間の平均利用人員が定員の105%を超過している場合
サービス提供職員欠如減算 基本報酬の50〜70%を算定
定められた職員の数が不足している場合に報酬が減額されます。
- 職員の数が基準を満たしていない場合
・定められた職員の数が、1割超不足している場合、翌月から減算となります。
・定められた職員の数が、1割以内で不足している場合、翌々月から減算となります。
・減算される金額
・減算適用1ヶ月目と2ヶ月目:所定単位数の70%が算定されます。
・減算適用3ヶ月目以降:所定単位数の50%が算定されます。
短期利用加算 300円/日
利用者が初めて短期入所サービスを利用し始めた日から30日以内で、1日につき300円が加算されます。
- 利用開始から30日以内:サービスの利用開始日(契約日)から数えて利用日数が30日以内であれば、毎日加算されます。
- 1年に30日まで:1年間で、この加算が受けられるのは最大30日までとなります。2年目からは対象外となります。
常勤看護職員等配置加算 60〜320円/日
看護師など、医療に関する専門知識を持った職員を常勤換算で1人以上配置している事業所が対象となります。
利用定員 | 加算額 |
6人以下 | 100円 |
7〜12人以下 | 80円 |
13〜17人以下 | 60円 |
18人以上 | 40円 |
看護師などとは?
保健師、看護師、准看護師が該当。
常勤換算とは?
職員の配置基準を判断するため、パート職員や非常勤職員の勤務時間を、常勤職員の勤務時間に換算すること。例えば、常勤職員が週40時間勤務の場合、週20時間のパート職員は0.5人分、週30時間の非常勤職員は0.75人分となります。
医療的ケア対応支援加算 1200円/日
医療的なケアが必要な利用者に対して、適切な支援を行っている事業所が対象となります。
- 医療的ケアが必要な利用者:痰の吸引、人工呼吸器の管理など、医療的なケアが必要な利用者を1人以上受け入れている場合。
- 人員配置:医療的なケアに対応できるよう、必要な人員を配置している場合。看護職員を必要数以上配置すること。(看護職員は常勤・非常勤を問わない)
- 算定要件:各都道府県の報酬基準によって異なります。
重度障害児・障害者対応支援加算 300円/日
重度の障害を持つお子さんや大人の方を、全体の50%以上受け入れている事業所が対象となります。
重度の障害とは?
具体的にどのような障害が重度とみなされるかは、各都道府県の報酬基準によって異なります。一般的には以下のような状態で判断します。
・身体機能の障害:四肢の麻痺や切断、重度の視覚障害、聴覚障害など、日常生活に支障をきたす身体機能の障害や呼吸器、循環器など、生命維持に関わる機能の障害。
・知的機能の障害:理解力、学習能力、コミュニケーション能力が著しく低い状態。
・精神機能の障害:発達障害などで、日常生活に大きな支障をきたす状態。
・複合的な障害:複数の障害が重なっており、日常生活の全般にわたって支援が必要な状態。
重度障害者支援加算 300〜500円/日
重度障害者等包括支援の対象者に対して専門的な支援を行った場合に対象となります。
以下の(Ⅰ)(Ⅱ)に分かれており、それぞれの条件を満たす事業所が加算の対象となります。
- 重度障害者支援加算(Ⅰ):500円/日
・障害支援区分が6かつ行動関連項目が10点以上の場合に算定 - 重度障害者支援加算(Ⅱ):300円/日
・障害支援区分が4以上かつ行動関連項目が10点以上の場合に算定。
※行動関連項目18点以上の方に対して、中核人材養成研修修了者による支援が行われた場合、さらに+500円/日。
重度障害者等包括支援とは?
非常に重度の障害があり、常時介護が必要な方に対して、様々なサービスを組み合わせ、きめ細やかに行う支援
行動関連項目とは?
認定調査員である市区町村の職員が障害のある方の状況を調査し、障害支援区分や行動関連項目の点数などを決定する。
中核人材養成研修とは?
強度行動障害のある方への支援に関わる職員を対象とした、専門性の高い研修。
単独型加算 3200円/日 一定の要件を満たす場合+1000円
単独加算は障害者支援施設のような大きな入所施設ではなく、地域活動センターなど比較的小規模な事業所でサービスを提供している場合に対象となります。
・単独加算の算定条件
単独加算の算定は、事業所の状況や地域の基準によって異なります。 具体的な条件や手続きについては、お住まいの地域の障害福祉課への問い合わせが必要です。
・単独加算の対象となる一般的なケース
他サービスとの分離:建物や設備、人員などが、他のサービスと完全に分離されている状態。
人員配置:必要な人員が配置されていること。
設備:サービス提供に必要な設備が整っていること。
一定の要件とは?
短期入所と日中サービスを利用している日で、1日の支援時間が18時間を超える場合に、追加の加算が受けられます。つまり、利用者が夜間も施設で過ごしているような場合が対象となります。
医療連携体制加算 320〜20,000円/日
利用者に看護サービスを提供する事業所が対象となります。
・医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)
看護職員が事業所を訪問して看護した場合(利用者8人まで)
加算額 | 要 件 | |
(Ⅰ) | 320円 | 1時間未満 |
(Ⅱ) | 630円 | 1〜2時間未満 |
(Ⅲ) | 1250円 | 2時間以上 |
・医療連携体制加算(Ⅳ)〜(Ⅵ)
看護職員が医療的ケアを必要とする利用者に看護を行った場合(1〜8人以下)
加算額 | 要 件 | |
(Ⅳ) | 4800〜9600円 | 4時間未満 |
(Ⅴ) | 8000〜16,000円 | 4時間以上 |
(Ⅵ) | 10,000〜20,000円 | 8時間以上 |
・医療連携体制加算(Ⅶ)〜(Ⅸ)
加算額 | 要 件 | |
(Ⅶ) | 5000円 | 看護職員が職員へ喀痰吸引などの指導を行った場合 |
(Ⅷ) | 1000円 | 研修済みの職員が喀痰吸引などを行った場合 |
(Ⅸ) | 390円 | 看護師を配置し利用者に適切な対応が取れる体制を取っていること |
看護職員とは?
看護師、准看護師、保健師など
看護師を配置とは?(加算(Ⅸ))
看護師の有資格者のみ配置。准看護師は認められない
栄養士配置加算 120〜220円/日
事業所で栄養士や管理栄養士を配置し、利用者の食事管理を適切に行っている場合に対象となります。
・栄養士配置加算(Ⅰ):220円/日
常勤の管理栄養士または栄養士を1人以上配置
・栄養士配置加算(Ⅱ):120円/日
非常勤の管理栄養士または栄養士を1人以上配置
食事提供体制加算 480円/日
市区町村が認定する低所得の利用者に対し、栄養士等による献立確認や食事の記録など適切な体制で食事提供を行っている事業所が対象となります。
・市区町村が交付する受給者証で食事提供体制加算の対象となっている利用者
・事業所内で調理、または外部の業者に委託でもOK
・栄養士などによる献立確認(年1回以上・外部委託OK)、食事の記録(目視、自己申告でも可)、体重測定が行われていること
受給者証とは?
障害福祉サービスを受けるために市区町村から交付される証明書です。この受給者証によって、利用者は、自分に合ったサービスを、公費負担で利用することができます。
栄養士などとは?
管理栄養士または栄養士。
緊急短期入所受入加算 2700〜5000円/日
予定していなかった緊急な状況で、利用者を短期入所で受け入れた場合に対象となります。
・対象期間:受入初日から7日間。やむを得ない事情がある場合は14日間。
加算金額 | 備 考 | |
(Ⅰ) | 2700円 | 福祉型 |
(Ⅱ) | 5000円 | 医療型 |
定員超過特例加算 500円/日
緊急時において定員を超えて利用者を短期入所で受け入れた場合に対象となります。10日間まで。
特別重度支援加算 1200〜6100円/日
医療的なケアが必要な重度の障害児・者に対して、計画的に支援を行った場合に対象となります。
・対象者:超重症児・者、準超重症児・者、その他医療ニーズが高い障害児・者に該当する場合。
・支援内容:計画的な医学的管理や療養上必要な措置を行った場合。
加算額 | 対象者 | |
(Ⅰ) | 6100円 | 超重症児・者 |
(Ⅱ) | 2970円 | 準超重症児・者 |
(Ⅲ) | 1200円 | 他医療ニーズの高い障害児・者 |
超重症児・者、準超重症児・者とは?
特に医療的ケアが必要な状態にある重度の身体と知的障害を持つ障害児者。2つの違いは一般的に医師が状態を評価し合計点によって判断されます。
計画的な医学的管理や療養上必要な措置とは?
服薬や注射などの医療的なケアや、それに加えてリハビリや食事療法などの療養的な支援。
送迎加算 1860円/回
利用者を自宅等と事業所間を送迎した場合に加算されます。
※施設入所などで自宅と事業所が同じ敷地内の場合、加算額は70%となる。
※送迎業務を外部の業者に委託したり、他事業所の利用者を同乗させても加算対象。
日中活動支援加算 2000円/日
日中活動の支援が必要な障害児・者に支援計画に基づいて、保育士やリハビリの専門職などが支援を行った場合に対象となります。
医療型短期入所受入前支援加算 5000〜10,000円/日
医療的なケアが必要な障害児・者が短期入所を利用する際、事前にしっかり準備をした場合に対象となります。
自宅訪問やオンラインでの面談なども可能、利用開始日に加算されます。
・対象者:市区町村が発行する受給者証に医療的なケアが必要と記載されている障害児・者
加算額 | 備 考 | |
(Ⅰ) | 10,000円 | 自宅などを訪問 |
(Ⅱ) | 5,000円 | オンラインなどを活用 |
受給者証とは?
障害福祉サービスを受けるために市区町村から交付される証明書です。この受給者証によって、利用者は、自分に合ったサービスを、公費負担で利用することができます。
集中的支援加算 5,000〜10,000円
強度行動障害のある利用者の状態が悪化した際に、専門性の高い「広域的支援人材」を招くなどして、集中的な支援を行った場合に対象となります。
・集中的支援加算(Ⅰ):10,000円/回(3ヶ月以内で4回まで)
広域的支援人材が事業所等を訪問して支援を行った場合。オンラインもOK。
・集中的支援加算(Ⅱ):5,000円/日(3ヶ月以内)
他の事業所から利用者を受け入れて支援する場合
広域的支援人材とは?
複数の地域や広範囲にわたって支援を行う専門的な人材
その他の加算
他の障害福祉サービスでも対象となる事が多い加算・減算を簡単にご紹介します。
◯大規模減算:基本報酬の90%算定
単独型の事業所で、20人以上が利用すると減算となります。
◯情報公表未報告減算:基本報酬の5%減算
情報公表制度が未実施
◯業務継続計画未策定減算:基本報酬の1%減算
業務継続計画未策定
◯身体拘束廃止未実施減算:基本報酬の1%減算
①身体拘束の記録②委員会開催③指針整備④研修実施がされていない
◯虐待防止措置未実施減算:基本報酬の1%減算
①虐待防止委員会開催②虐待防止研修実施③担当者の設置がされていない
◯利用者負担上限額管理加算:1500円/月
対象者の負担額の管理を行った場合
◯福祉・介護職員等処遇改善加算
職員の賃金改善など一定の基準に適合する取り組みを実施している場合。別途、概要説明ページを作成予定。
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